プログラム

１. 高分子の概論と合成～基礎と最先端合成技術（9:30～11:00）
　　京都工芸繊維大学大学院工芸科学研究科　教授　中　　建介 氏
　近年の多様なモノマーを用いた精密重合法の発展によって、末端基、分子量および立体構造が高度に制御された優れた機能をもつ高分子の合成が可能となっており、これら高分子を用いた光学材料、電子材料、磁性材料や医用材料などが次々と開発されている。本講演では包括的に最先端の高分子合成技術を知り、自らの研究や材料開発に取り入れられそうな高分子材料に関するヒントを得られることを目的とする。

２. 高分子の製造技術～重合反応装置における攪拌と混合（11:00～12:10）
　　住友重機械プロセス機器（株）技術グループ　グループリーダー　竹中　克英 氏
　攪拌型の重合反応装置は、ポリマー製造プロセスにおけるプラント全体の心臓部として使用されるケースが多い。本講演では、重合反応装置の選定および設計に関する基本的な考え方について説明し、あわせて最近の開発動向を紹介する。

３. 高分子物性の基礎と応用～相溶性と高分子ブレンド（13:30～14:40）
　　滋賀県立大学工学部材料科学科　教授　徳満　勝久 氏
　高分子材料が１種類だけの材料として用いられるケースは少なく、他材料との複合化やブレンド材料として用いられることが多い。その高分子の“混ざる・混ざらない”を通じて、「高分子ブレンド」の基礎を理解し、さらにはそれらブレンド材料の物性評価の基礎と応用について解説し、最近の研究開発の事例についても紹介する。

４. プラスチック成形品の不具合 ～原因究明とその対策（14:40～15:50）
　　北陸先端科学技術大学院大学　産学官連携客員教授　樋口　裕思 氏
　プラスチック成形品を実環境で使用すると、さまざまな不具合が発生することがあります。ここでは、使用者の立場（ユーザーサイド）で、販売者がどのように成形品を評価しているかを紹介します。発生した不具合の原因を究明し、その対策を施すまでの一連の過程を、「環境応力割れ」を例にとって説明します。対策は材料選定や成形方法および形状の変更などに及ぶため、素材メーカーや加工メーカーに遡って、相互に協力して課題解決することが重要になってきます。

５. 研究開発と事業化～機能性ポリマーの企業化例を通じて（16:10～17:20）
　　(株)日本触媒 R&D統括部　チーフテクノロジーマネージャー　上田　賢一 氏
　自身の研究テーマが事業化され、自社の利益に貢献し広く産業界の反映に寄与することは、企業研究者にとってこの上ない喜びであろう。演者自身が機能性ポリマー研究において事業化した開発事例や、幾つかの事業化案件を紹介し、事業化に結びつく研究開発について解説する。今後、ご自身の研究の企業化を目指す皆さんにとって、少しでも役立てば幸いである。

【交 流 会】講義終了後に受講者・講演者の交流の場を設定します。（17:20～18:00）